ヴィルトゥオーゾの妙技
第8回プレミア定期公演
ハイドン、ドヴォルザーク、モーツァルトの作品
ドヴォルザークのヴァイオリン協奏曲には、他のロマン派協奏曲でも求められる、ふくよかで温かく輝く音色、最高レベルのヴィルトゥオジティ、そして膨大な体力、といったすべてが要求される。世界的に高名なヴァイオリニスト諏訪内晶子は、今回ヤルヴィとドイツ・カンマーフィルハーモニーとの再共演にあたり、当然ながらこれら全てを携えてくる。ドヴォルザークは故郷スラヴの民謡にインスピレーションを受け、それをヴァイオリン協奏曲に巧みに取り入れた。一方、メンデルスゾーンは「異国」の魅力に心奪われた。20歳のとき、ロンドンへの旅行を機会にスコットランドに寄り道し、深い感銘を受けた彼は「第3番」を作曲。風景画であり歴史絵巻ともいえる本作は、インスピレーションの源が音楽とは全く関係ないものの、交響曲のすべての条件を見事なまでに満たしている。ハイドンがその38年前に「ロンドン交響曲」や「驚愕」で繰り返し聴衆を沸かせたように、ピアニストとして、指揮者として、メンデルスゾーンはロンドンで大々的に称賛された。